ミソシコベが血判した詫び証文の石
どんな伝承か
志賀町梨谷小山の桜井家に、庄九郎兵衛という男が仕えていた。家の上の川で馬に水浴びさせていると、ミソシコベ(河童)が馬の尾を持って水中へ引きずり込もうとした。驚いた馬はミソシコベをつけたまま馬屋へ駆け込み、馬桶の中にすくんでいたところを捕らえられた。ミソシコベは在所の者には手をかけないと石に書き、指を切って血判して許された。以後は毎日魚を運んできたが、証文の字を消そうと石を舐め続けた。字が消えかかった大正十二年八月三十一日、水浴びをしていた三人の子供のうち一人が死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。