火薬庫前の川でガーッパに憑かれた男
どんな伝承か
長崎県下県郡雞知村の洲藻に伝わる、俵家の主人の話。二十年ほど前、洲藻の某という男が雞知からの帰り途でガーッパに騙されたという噂が立った。ある日、俵氏が雞知の町はずれでその男に出会い、日が暮れて一人では帰れないというので同行した。雞知砲兵聯隊の火薬庫の前、川沿いの道にさしかかると、男は「出ました」と叫んで川へ半身を乗り出して倒れる。三、四度繰り返し、ついに頭も胸も水に突っ込んで倒れた。営門に救援を頼み引き起こすと、土産に持たせた鯨肉が一切れしか残っていなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。