焼けた大木の大蛇と夜ごとの夢
どんな伝承か
まだ開墾の苦労が続く明治三十年頃、札幌郡広島村でのこと。幹が空洞になった直径二メートル余りのタモの老大木を、周りの笹や木の根ごと焼き払うことになった。火は一週間燃え続け、四日目頃から炎が青白く変わり、根元から紫色の脂が流れ出た。不思議に思った男が梯子をかけて空洞を覗くと、焼けて白骨化した大蛇がとぐろを巻いていた。男は骨を持ち帰って葬り、近所の人は木の傍に祠を建てて大蛇の霊を祀った。これが後に大蛇神社と呼ばれたが、昭和初期の大洪水で流された。その後、男は毎夜「熱い、火を消して」と訴える娘の夢にうなされ、娘は夜ごと年をとって老婆に変わった。男は万事うまくいかなくなり、広島を去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。