病むたび夢に現れて育つ猫
どんな伝承か
亡くなった夫は拾ってきた猫を飼っていたが、酒に酔うとひどくいじめた。妻は不憫に思い、陰に日向にかばい続けた。猫はやせ衰え、いつの間にか姿を消し、まもなく夫も病で死んだ。その後、妻は何度も病に伏せるようになる。そのたび夢に猫が現れ、しつこくまとわりついてくる。やっと振りほどいて息をつくと目が覚め、その日から病は快方に向かう。いつも同じであった。やがて気づいたのは、猫が夢のたびに大きくなり、毛づやもよくなっていることだった。昭和五十五年の夏にひどい熱で苦しんだときは、堂々と大きく育った猫が横向きに座っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。