唐紙の上を歩く気配と満州里の死
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どんな伝承か
夫の久太郎は昭和十九年二月に召集された。戦後十四年間を留守家族として過ごしたので、戦死を知らされてもそれほど衝撃は受けなかった。昭和三十四年四月、札幌市役所の者が公報を持ってきて、久太郎は昭和二十年八月十二日に満州里で死亡したと告げた。ちょうどその年の八月十一日から九月半ばごろまで、寝ているとき出入りする唐紙の上から何者とも分からないものが来て、猫が歩くように足を上げるような気配があった。無性に寂しく、誰かを起こそうにも声が出ない。それが一か月ほど続いて止んだ。あれが魂の帰ってきたことかと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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