飯盛寺の流しに立つ水音
どんな伝承か
館村飯盛寺の老方丈夫婦の寝所は、客殿と流しの間の納戸である。嵐の音に寝つかれず、ようやくうとうとした婆さんの耳に、流しの方で水を使い洗い物をする音が聞こえた。「爺さま、誰か来たようだぞい」と方丈を起こし、手燭をつけて流し場へ行ってみたが人影はない。「さては村で死人ができたか」と寝所に戻ると、方丈はすでに衣に着替えていた。「おなごの人だな」と言って客殿に灯をともし経をあげると、果たして早朝、村から女が死んだという知らせが来た。客殿の方で物音がすれば男が死んだ予兆だという。舟津村洞泉寺の老方丈も、同じ死人の訪れ方をすると語った。
原典より
二年ほど前、五所川原市の近郊を採訪していて、和島秀子さんという四十すぎの主婦から、死んで生き返ったという人の話を聞くことができた。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。