ぐひんの信者になった白山の老人
どんな伝承か
新潟県南蒲原郡大面村白山に、太郎右衛門という老人がいた。狗(ぐひん、天狗)の信者で、松原にある天狗松で山仕事をしていた最中に狗に投げ飛ばされたことがきっかけで信者になったという。朝、茶を飲んでいると、入口から赤ら顔で鼻の高い、白衣を着た男がすっと座敷に入り込み、板戸を鳴らすなどの悪戯をしたが、度が過ぎると老人はこれを叱りつけた。老人が便所で縄につかまり損ねて倒れそうになったときには助けてくれたこともあり、また親戚の縁談を案じて独り言をつぶやくと、湯殿の外から十五、六歳ほどの子供の声で「駄目じゃ」と二度言われたこともあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。