笠置寺を案内したガイド猫笠やん
どんな伝承か
京都府の笠置寺は、後醍醐天皇の行在所の跡に建つと伝わる古寺である。あるとき、鼻先と足先の白い赤トラの雄猫が来て住みつき、いつしか笠やんと呼ばれるようになった。この猫は参拝客を案内するガイド猫として評判になった。山門をくぐるとニャアと迎えて拝観料の窓口へ連れて行き、支払いが済むと歩き出して、見どころごとに振り返っては鳴き、賽銭箱の前でももちろん鳴いた。後醍醐天皇を守った衆徒の生まれかわりだという声も出て、写真入りの本まで出たが、一九九四年二月に死んだという。参詣した人から聞いた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。