夜の沢道で後をつけてくる下駄の音
どんな伝承か
長野県下水内郡栄村小赤沢に伝わる話。語り手が二〇歳ぐらいの頃、まだ車もなく木々が生い茂っていた時分のこと。夜九時か十時ごろ、灯りも持たずに沢を下駄で登っていると、誰かが後ろをカラッコロ、カラッコロとついてくる足音がした。歩みを変えるとその足音もそれに合わせて聞こえ、草履のときにはパタパタと草履の足音がついてきたという。ある日、狸を捕まえたところ、その後は音がしなくなり、やはり狸の仕業だったのだろうと語られている。話者は福原徳次郎、記録は今井美代子、「あまんじゃく」8号に収録。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。