飯江川のほとりで汽車を止めた古狸
どんな伝承か
大正時代の話。鹿児島本線の瀬高駅と渡瀬駅の中間、飯江川のあたりまで汽車が来ると、たびたび急ブレーキをかけて止まった。機関手に聞くと、線路の上に太い石があったり、線路の向こうが真っ黒で何も見えなくなったりして、怖くて先へ進めなかったという。それでいて汽車を止めて見ると何もない。何度も続いたので腹を立てた機関士が思いきって突っこんだところ、コソンという程度の手ごたえしかなく、何事もなく通り過ぎた。後で線路の近くに、一匹の太い古狸が汽車にはねられて死んでいるのが見つかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。