ソウマンドウで通せんぼする大入道
どんな伝承か
千葉県の下総地方では明治の末ごろまで、夏になると農家の若者が夜明け前に馬を連れて草刈り場へ行き、朝飯前に一駄の草を刈って帰る習わしがあった。明治三十年ごろ、印旛郡川上村用草の赤地熊次郎という若者が、小雨の朝に草刈りへ出た。人家から四、五町離れた山道のソウマンドウという、死んだ馬を埋める所にさしかかると、向こうから鉢巻をした大入道が馬で来た。道を譲って避けると、入道はわざわざそちらへ寄ってきて通せんぼをする。気味が悪くなった若者は振り返らずに逃げ帰った。家の者が見に行っても何もおらず、馬の足跡もないので、狸のいたずらだろうと言われた。若者は恐ろしさのあまり高熱を出し、数日寝込んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。