懐が枯葉になった炭焼きの商い
どんな伝承か
明治末のころ、数馬の炭焼きが上野原へ出て、ローソクや干物など日用品を一杯に買い込み、夜道を帰ってきた。安く仕入れられ、村で売れば儲けが出ると上機嫌で酒を呑み、西原峠を越えて八本松まで来た。もう数馬は目の下である。酔いがまわり、無理に目を開けて歩くと、行く手から次々に買手が現れ、非常に高い値で品を買っていき、ふところはたちまち金で一杯になった。ところが目が覚めると、八本松の根方で正体もなく眠っており、背負ってきた荷は一かけらもなく、ふところには枯葉が詰まっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。