カレーライスで村一番の文化人に
どんな伝承か
昭和のはじめ、田舎から東京の美術学校へ進学した男が、初めて食べたカレーライスの味を忘れられず、夏休みに帰郷して近所中に振る舞ったという昔語り。後年、東京に出てきた後輩たちにもカレーライスを食べさせると、五杯もお代わりする者がいた。戦後初めての村会議員選挙では「東京でカレーライスを食べ、村に持ち帰った村一番の文化人」ということで、後輩たちが村長や村会議員に選ばれ、語り手自身も村の文化財保護委員になったという、開化文物にまつわる世間話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。