名を呼ばれ続けて目覚めた若者
どんな伝承か
新潟県古志郡山古志村の話。若い時、二十五、六歳の頃だったか、これも本当に死んだといって、みんなが死んだ死んだと言った。『オジや、オジや』と名前を呼ばれ、こちらは返事をしているのに、いっこうに構わず、ばかでっこい声で来いと言い続ける。とうとう呼ばれ戻されるうちに、広々とした良いところへ行って気持ちが楽になり、ばかげた良い気分になってその広いところへ出た。あれほど一生懸命呼ぶけれども、俺はこうして返事をしているのにどうして俺を呼ぶのかと思っていたら、ポカンと目が醒めたということだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。