れんげ畑で亡き同級生を追った危篤の祖父
どんな伝承か
昭和四十九年に亡くなった回答者の祖父が、その六年前、七十四歳で危篤に陥ったときの話。意識のない祖父は「待ってくれ、待ってくれ」とうわ言を繰り返した。回復してから父に語ったところでは、れんげ畑の一本道を、同じ字に住んでいた小学校の同級生の茂吉さんが聖天院のほうへ歩いていくので追いかけたが、どうしても追いつけなかったという。茂吉さんはそのとき既に亡くなっていた。話を聞いた父は、追いついていたらこうして話もできなかっただろうと、しみじみ言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。