花畑を見たと語った従兄
どんな伝承か
昭和四十六年五月のことである。当時札幌の短大に通っていた前田美智子のもとに、従兄が危篤だという電報が届いた。急いで病院へ見舞うと、従兄は思いのほか元気そうで、冗談半分に「きれいな花畑を見たぞ」と話していたという。ところがその三日後、従兄はそのまま亡くなってしまった。死に瀕した者が花の咲く野を見たと語る話は各地から寄せられており、これはその北海道釧路市の例として記録されたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。