福寿草に変わったクノンメ姫の血
どんな伝承か
釧路の酋長オニトムシナルは、釧路市郊外の茂尻矢の背後に、高さ五十尺、周囲十町ほどの塁を築いた。アイヌはこれを大きな塁の意でポロチャシと呼び、和人は後にその形から、お供山と名づけた。酋長はここに立てこもり、十勝や根室のアイヌと戦った。幾重にも囲まれても、酋長が頂の大石に手をかけて念じれば、つむじ風が起こって敵を吹き飛ばしたという。やがて戦に疲れた根室の酋長イサヤコが、酋長の娘クノンメ姫を妻に望んだが、姫はその醜さに気を失い、心を離した。恋は戦の口火となり、乱戦の中でイサヤコの放った矢が姫の胸を貫く。血に染まった草地には、春を先駆けて咲く福寿草の花が見られるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第1巻』所収の「文化叙事伝説」48話(北海道・青森)を収める。各話は伝承地を市町村〜字レベルまで明記し、例話・類話・文献を備える。