福寿草に変わったクノンメ姫の血
どんな伝承か
釧路の酋長オニトムシナルは、釧路市郊外の茂尻矢の背後に、高さ五十尺、周囲十町ほどの塁を築いた。アイヌはこれを大きな塁の意でポロチャシと呼び、和人は後にその形から、お供山と名づけた。酋長はここに立てこもり、十勝や根室のアイヌと戦った。幾重にも囲まれても、酋長が頂の大石に手をかけて念じれば、つむじ風が起こって敵を吹き飛ばしたという。やがて戦に疲れた根室の酋長イサヤコが、酋長の娘クノンメ姫を妻に望んだが、姫はその醜さに気を失い、心を離した。恋は戦の口火となり、乱戦の中でイサヤコの放った矢が姫の胸を貫く。血に染まった草地には、春を先駆けて咲く福寿草の花が見られるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。