神の乗物で沙流川に降りた雷神の子
どんな伝承か
雷神カンナカムイの息子が語る神謡。天の国で育った息子は、行ってはならぬという親の戒めを破り、神の乗物シンタに乗って下界へ降りた。沙流川の川尻が見え、鮭が盛り上がるほど遡り、鹿を追う若者の列が続く豊かな国だった。オキクルミの村では位の高い神が通ると触れが出て、村中が音を立てずに静まった。ところが下流のサマユンクルの村では人々が神を侮り、研ぎ水を撒き、臼を搗き、ござの蒲を浸した水を天へ振りかけた。怒った息子がシンタを叩くと火の滝が落ち、続いて氷と岩の滝が降り、村は焼け残りの黒い柱だけになった。それゆえ雷の鳴るときは静かにするものだという。
原典より
リクンカント 天の国ノチユーカラカムイ 星づくりの神その神のすぐそばに住んでいる神竜の神カンナカムイのその息子それが私でありました天の神尊い神の息子でも—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。