雷を嘲って飛ばされた二人の女
どんな伝承か
沙流川の奥、振内の近くにシュマルッペという、まいづる草ばかりが生える場所がある。昔、この近くで二人の女が、雷が鳴っているのに莚を編む蒲を水に浸して湿らせながら、雨が降っても自分たちは働いているのに雷は遊んでばかりで働かないのかと悪口を言い、蒲を浸した水を雷の方へ振りかけた。怒った雷は二人の家の上に落ち、女たちを素裸にして、一人の股にはどろの木の葉を、もう一人には柏の葉を貼り付け、それぞれ夕張の奥と十勝の方へ吹き飛ばしてしまった。雷が落ちて家を焼いた跡に、まいづる草だけが生えているのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。