六つの天を越えたカケスの使い
どんな伝承か
ひどい飢饉の年、川に鮭は上らず山に鹿の姿もなかった。人間の祈りを受けた神々は、鹿を支配する神と魚を支配する神に掛け合う使者を選んだ。まずカラスが立てられたが炉端で居眠りばかりして薪で打たれ、次のヨタカは外で大声を上げて悪魔に話を漏らし、昼は隠れて夜だけ飛ぶようになった。三度目に選ばれたカケスは、六つの樽の酒を背負って六つの天を越え、神々を酒宴に招いた。渋る鹿の神には産の苦しみを真似た踊りで笑わせて鹿の袋を、魚の神には人がいなくなれば誰が神を敬うのかと説いて魚の袋をもらい受けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。