浅葱色の空の下を歩く野原
どんな伝承か
沢渡吉彦が寄せた話である。昭和四十年頃の夏近くのこと。私の歩いている野原は、ぽかぽかしたよい日和であった。空はきれいな浅葱色、野原の草が美しく萌えている。あたりには誰もいない。静かだが淋しくはなく、小鳥も啼いているようだ。私は痛くも苦しくもなく、いい天気だなと振り向きたいほどであった。あとから気がついたのだが、自分は倒れたまま寝込んで医者にかかっており、結論は血圧が高かったらしい。あの鮮やかな野原はあの世だったらしい。野原を歩いている自分の姿も客観的に見たようだ。あの世はよかったと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。