事故を目撃した社長に憑いた幽霊
どんな伝承か
山形では、怪しい物が住み着いているとされる家が平成の現在でもいくつか存在するようだが、実体を解明したという話は聞いたことがない。筆者が歩いて調査して感じたのは、人々が幽霊と妖怪をごっちゃにしていることである。以前そこで殺人があり、殺された人の霊魂が出てくるのに、化け物が出ると表現している。山形市の会社社長宅にも幽霊が出るようになったが、当人には心当たりがない。ただ一つ、事故を目撃した日から出るようになった。幽霊は目撃した社長に付いて来て住み着いたのである。社長は近所から妖怪住宅と噂されるうち、家にいるのは妖怪だと思い込んでおはらいをした。成仏しない幽霊をおはらいで静めるのは見当違いだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考-妖怪住宅の実体(高橋敏弘・西郊民俗・1991年(平成3年))
『怪異雑考-妖怪住宅の実体』は、高橋敏弘が西郊民俗談話会の発行した『西郊民俗』第百三十七号(平成三年十二月)に寄せた小論である。妖怪が住むと噂される山形市の家を著者が歩いて調べた話を中心に、幽霊屋敷と妖怪住宅の違い、妖怪に家を取られた男、妖怪が呼ぶ屋敷、家賃を払った妖怪の話を記す。四つの節と注からなり、大正末期の話は東俊助の『山形奇異実録』を典拠に挙げ、今も家に残る通い帳にも触れている。