蔵王のスキー場に立つ女
どんな伝承か
作家の戸川昌子が語った体験である。十二年ほど前、蔵王のスキー場で一人で雪みちを歩いていた。すると忽然と目の前に、マフラーのようなもので顔を半分かくした女の人が現れ、雪あかりの中にぼうっと立っているのであった。そのままやり過ごし、しばらくしてふと振り返ってみると、その女の人はもういない。あたりには雪あかりのほかに何もなかった。むしょうに気味が悪かったと戸川は述べている。
原典より
十二年ほどまえ、蔵王のスキー場で、一人で雪みちを歩いていたんです。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。