寒いとドゥブクを求めた夫の夢
どんな伝承か
新潟県北魚沼郡守門村(現・魚沼市)に伝わる話。昭和十九年、夫が出征したとき、キクノさんは身重だった。夫の出征後に生まれた子を産んで一週間ほど経ったころ、夢に傷痍軍人のような姿の夫が現れ、「その子を抱かせてくれ」と手を伸ばした。二度目には「ドゥブク(綿入りの防寒着)を出してくれ、寒くてしょうがない」と訴えたため、キクノさんは夫の死を悟ったという。戦死の公報が届いたのは終戦の年の九月だったが、夢に現れたのはお産のあった六月で、そのころ夫のいたテニアン島は大空襲を受けていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。