滝の向こうから呼ぶ亡き同級生
どんな伝承か
昭和五十二年、群馬県伊勢崎市の語り手が入院していたときの話。高熱が続き、気管支の血管が切れて喀血し、一日に五本も点滴を受けていた。うなされる中で何度も見たのは、小中学校の同級生で、白血病と心臓発作のため十七歳で亡くなった男の子二人の夢だった。二人は滝の向こうから、自分たちだけでつまらないから早く来いと呼んだが、語り手はまだやりたいことがあると首を振り、夢中で道を下って逃げた。気がつくと母が顔をのぞき込んでいた。退院後に再発して肺の手術を受けると、また二人が現れ、寒い日なのに水着姿で水泳大会に出ると笑い、水の中へ泳ぎ去っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。