飴を買う代金に一文銭を持たせる真幸村
どんな伝承か
子育て幽霊の話の裏づけになる葬送の習俗として、著者は『葬送習俗語彙』から日向の真幸村の例を引く。そこでは死者の頭陀袋に茶三袋、数珠、扇子、髪の道具とともに一文銭を七枚入れるが、この銭は三途の川の渡し賃とも、死者がこの世に出てきて飴を買って食べるための代金ともいわれているという。
原典より
縒じてこの旁證になると思はれる葬制は、以下、「葬送習俗語彙」によると、日向眞幸村で茶三袋、念珠、扇子、髪道具、それに三途の川の舟渡賃とも此世に出て來て飴を買って食べる代金とも言つて一文錢七枚を頭陀袋に入れると見える。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。