大蛇の嫁になった娘と湖に沈んだ家
どんな伝承か
山に大きな堀があり、その下は田圃であったが、堀の水が出ないので一帯の田は枯れてしまった。百姓が、この田に水をくれる者があれば娘を一人やってもよいと独り言を言うと、堀にいた大蛇が田に水を張った。その晩、大蛇は立派な男に化けて娘を貰いに来て、妹娘が嫁ぐことになった。娘は湯に入ると胸に鱗が三枚ずつ生え、昼寝の間は部屋いっぱいの大蛇の姿になっていた。嫁に行く途中、道を教えた百姓に毎朝魚と金を出すが人に話すなと約束させた。百姓が妻に問い詰められて話してしまうと、その晩、家の地面が落ちて湖になったという。
原典より
すると、その晩間違ひもなく命をとりにきて、そこの家の地面がすとんと落ちて、湖となつてしまつた。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。