大蛇と化した円光上人の母
どんな伝承か
吾妻郡善導寺の二代滝沢円光上人の母は、明徳五年四月二十日に榛名宮へ参りたいと願って大勢の童僕を連れ、山上の沼のほとりで人々に暇乞いをして沼に飛び込んだ。従者の前で母は大蛇と化し、紅の舌を出し角を振って青い鱗の姿を現したのち、水中に没して二度と出なかった。円光は筑紫から自分を尋ねて来て二十日もたたぬうちに蛇身となった母を嘆き、衆僧を集めて広雲快竜大善女と法号し、七日の仏事を営んだ。ある夜の夢に母の霊が現れ、自分は七生以前から筑紫の広島池の蛇身で、仏の種子を求めて仮に人身となり鎮西氏の妻となって仏子を生んだ、追善を頼むと告げて消えたという。按文は木部宮内少輔の室の入水も添える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。