針の糸が明かした蛇の申し子と小沼
どんな伝承か
赤堀道元の屋敷の下を小沼の水が流れていたという。道元の娘のもとへ毎晩誰かが通ってくるので、親は正体を知ろうと、着物の褄に針を刺しておけば人か蛇体かわかると教えた。針を刺すと血の跡が続き、たどると石垣の穴に至った。耳を澄ますと、人間の体に種を下ろしたからもう用は済んだ、と話す声がした。蛇が通って宿ったのがその娘で、美しい娘だった。娘は赤城へ行きたいと言い、駕籠で連れて行くと小沼に引き込まれた。その日が五月八日だったので、この日に赤飯をふかして行器に入れ小沼へ持って行くと、沼の真ん中で渦を巻いて沈み、空になって浮いてくるという。だから十六のときには娘は小沼へ行くなと言われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。