蜘蛛の糸に呼ばれた万太郎渕
どんな伝承か
小中の大滝の下に、昼でも暗く気味の悪い、大木に囲まれた万太郎渕があった。今は浅くなったが、昔は大きな渕で、行ってはならないと言われていた。あるとき万太郎がこの渕へ魚を捕りに来ると、魚はよく釣れた。ところが蜘蛛が水から出てきては足に糸をかけ、また出ては糸をかける。おかしなことをすると思い、その糸を木の根に掛け替えたとたん、「万太郎」と呼ぶ大声がした。木の根はみるみる焦げ、魚籠に入れておいた魚はみな跳ね出してしまった。万太郎は急いで逃げ帰り、それから村人は万太郎渕へ行くなと言うようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。