古老が語る用沢小僧の盗みと最期
どんな伝承か
用沢の古老からは、ほかの書物に漏れた用沢小僧の話も聞かれた。小僧は径三寸ほどの立木の陰にも身を隠せたという。近くの村の庄屋の婚礼から料理を盗み出し、夜なべに藁仕事をする村人の頭上から吊り下ろして分け与えたこともあった。上納金を盗めたらくれてやると庄屋に言われた雨の夜には、庄屋が軒先で笠を打つ雨音に気を取られている隙に金は消え、軒下には笠だけが置いてあった。小田原の殿様が役人を差し向ければ費用を村が負うので、村人が自分たちで始末したともいう。石子詰は誰の石で死んだか分からなくするため、村に古くから伝わる私刑だったらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小山町史 第9巻 (民俗編)(小山町史)
『小山町史 第9巻(民俗編)』は、静岡県駿東郡小山町の町史の民俗編から、口頭伝承の章の伝説の節を抜き出したものである。石子詰にされた忍びの若者・用沢小僧の伝えを出典ごとに並べ、むらの名の由来、金太郎ゆかりの地と石、仇討如来や鬼鹿毛馬頭観音、村境の決め方、竹之下合戦にまつわる伝えなどを収める。富士山麓と足柄山のあいだの町に残る、地名と社寺・石に結びついた言い伝えが中心である。