酒の味が消えた只水の泉
どんな伝承か
一色の只水の集落に湧く泉は、いつも酒の味がしたという。ある日通りかかった雲水がこの水を所望すると、村人は「あれはただの水でござる」とそっけなく答えた。雲水は腑に落ちないまま黙って去ったが、それ以来泉から酒の香りが消えてただの水に戻り、只水という地名が生まれたという。別の説では、もらった水があまりにうまかったので雲水が「これはただの水ではない」と深く感謝して去り、その雲水は弘法大師だったともいう。良い水をただで使えるので只水と呼んだという説もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小山町史 第9巻 (民俗編)(小山町史)
『小山町史 第9巻(民俗編)』は、静岡県駿東郡小山町の町史の民俗編から、口頭伝承の章の伝説の節を抜き出したものである。石子詰にされた忍びの若者・用沢小僧の伝えを出典ごとに並べ、むらの名の由来、金太郎ゆかりの地と石、仇討如来や鬼鹿毛馬頭観音、村境の決め方、竹之下合戦にまつわる伝えなどを収める。富士山麓と足柄山のあいだの町に残る、地名と社寺・石に結びついた言い伝えが中心である。