妙見が田を植えた弥左衛門屋敷
どんな伝承か
親沢から笠原へ越える峠の下に弥左衛門屋敷がある。昔ここに弥左衛門という長者が住み、蔵を三つ構え、下男下女を六、七人も使っていた。馬好きの弥左衛門は「なんたらこま」という栗毛の馬を可愛がっていた。ある年の田植え時に悪い病がはやって一家が寝込み、田植えが遅れると嘆いていると、ある晩なんたらこまが姿を消した。翌朝蹄の跡をたどると田は一夜で植え終わっており、さらに追うと馬は妙見の祠の前で草を食んでいた。祠をのぞくと妙見の木像の腰から下が泥だらけで、村人は妙見が馬に頼まれて田を植えたのだと拝んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。