娘の火傷を引き受けた身がわり地蔵
どんな伝承か
昔、大勢の女中や下男を使う長者がいた。下男は毎日田で働き、女中は昼飯を田へ運んだ。女中の中に信心深い若い娘がいて、村の地蔵の傍らを通るたびに椀に飯を盛って供えていた。ところが、娘は男をかくまって飯を運んでいるのではと噂する者が出た。長者が調べると確かに飯を持ち出しており、問いただすと地蔵に供えているという。嘘と思った長者は焼け火箸で娘の顔を焼こうとしたが、娘は少しも傷つかず、代わりに地蔵の額に火箸の跡が付いていた。長者の家はその後落ちぶれ、娘は無事に暮らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。