福来の別所温泉念写講演
どんな伝承か
東京帝国大学を退いた直後の福来友吉を、かつてその講義を聴いた青年僧の半田孝海が、不遇の恩師を慰めようと信州の別所温泉に招いた。福来は一週間ほど常楽寺に泊まり、半田の願いを受けて別所や近くの土地で七回ほど念写について熱のこもった講演をした。揮毫を頼まれると、どこでも決まって「万理一空」と書いたという。福来は半田を自分の研究の跡継ぎに誘ったが、半田は応じなかった。滞在中、福来は「ぼくも和尚になるよ」と漏らしたといい、高野山での修行はこのあとのことになる。昭和三十六年に著者が半田から聞いた話で、福来が泊まった客室は手を加えながら寺に残っているという。
原典より
揮毫を求められると、どこででもきまって、「万理一空」と書いたが、それはいまも残っている筈、ということであった。—— 新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究)
『新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜』は、田中千代松が著した思想史の研究書である。死者の霊との交信を説く新スピリチュアリズムと、そこから生まれた心霊研究、さらに超心理学までの系譜を、社会思想史の観点から科学と宗教の闘争史としてたどる。全七章と結語から成り、欧米での勃興、クルックスらの実験研究、マルクス主義からの攻撃、SPRとASPR、井上円了と福来友吉、ラインの実験と超心理学の限界を順に論じる。