顔を向けたまま透視した長尾郁子
どんな伝承か
福来友吉が二番目に研究した神通力者が、丸亀区裁判所判事・長尾与吉の妻の郁子である。郁子の能力は明治四十三年六月ごろから現れ始めた。御船千鶴子の霊能を報じた新聞記事を読んだ郁子が、子供たちを相手に面白半分で透視を試みたところ、図らずも精神を統一して透視することができた。興味を覚えて熱心に練習するうち能力は上達していった。力量は全盛期の千鶴子に及ばなかったが、実験者の方に顔を向け、実験物に手を触れずに透視できた点で、学術上は千鶴子に勝ると福来は評した。
原典より
夫人の能力は明治四十三年六月の頃から現はれ始めたのである。—— 新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究)
『新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜』は、田中千代松が著した思想史の研究書である。死者の霊との交信を説く新スピリチュアリズムと、そこから生まれた心霊研究、さらに超心理学までの系譜を、社会思想史の観点から科学と宗教の闘争史としてたどる。全七章と結語から成り、欧米での勃興、クルックスらの実験研究、マルクス主義からの攻撃、SPRとASPR、井上円了と福来友吉、ラインの実験と超心理学の限界を順に論じる。