厳封した名刺十九枚の透視
どんな伝承か
福来友吉が熊本の御船千鶴子に最初に課したのは、郵便を使った透視の試験だった。多くの名刺の中から好きに十九枚を選び、文字のすべてか一部にあたる表や裏へ錫箔を貼って、前後を不透明な白いカードで覆い、封筒に収めた。封じ目には小さな紙片を貼って自分の認印を押し、厳重に封をした。これを熊本の井芹経平の家へ送り、封入した名刺を千鶴子に読ませてほしいとだけ頼んで、仕掛けのことは何も知らせなかった。井芹は二、三通ずつ千鶴子に透視させ、答えを書いた紙を添えて送り返してきた。福来が開封して答えと照らし合わせると、成績はきわめて良かった。
原典より
井芹が、二、三個ずつ千鶴子に透視させて、解答を記した紙片を添えて、返送して来た。—— 新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究)
『新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜』は、田中千代松が著した思想史の研究書である。死者の霊との交信を説く新スピリチュアリズムと、そこから生まれた心霊研究、さらに超心理学までの系譜を、社会思想史の観点から科学と宗教の闘争史としてたどる。全七章と結語から成り、欧米での勃興、クルックスらの実験研究、マルクス主義からの攻撃、SPRとASPR、井上円了と福来友吉、ラインの実験と超心理学の限界を順に論じる。