京都へ誘われた伝爺様と狐
どんな伝承か
武名坂に住む伝爺様の家の木戸口に、美しい女が現れて、京都へ一緒に行こうと誘ったという。すっかりその気になった伝爺様は、京都へ行くから晴れ着を出せと女房に言いつけ、女房は一番上等な着物を出して着せた。伝爺様は袖を引いたり衿をなでたりと落ち着かない。この騒ぎが集落に知れ渡り、隣の留ぢっちが、何か魔物に憑かれたのだろうと空鉄砲を五発撃つと、狐がキャンキャン鳴いて逃げていった。それで伝爺様は正気に戻ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平田村史 第3巻 (民俗編)(平田村史)
『平田村史 第3巻(民俗編)』の昔話と伝説の章から、伝説と世間話の節を抜き出したものである。福島県石川郡平田村の大字・字ごとに、八幡太郎義家や日本武尊にまつわる地名の由来、河童石、姥捨ての十石山、平堂内の大蛇、鶴殺し南兵衛、狐に化かされた村人の話などを収める。阿武隈の山あいの村に残る、石と塚と小さな祠にまつわる伝えが中心である。