母のぼた餅は馬糞だった
どんな伝承か
明治三十年のこと、隣の丑爺様の家に、源という買い子が住み込んでいた。源は故郷と母を恋しがって、毎日ろくに仕事が手につかなかった。ある晩、夢にまで見た母が、大きな重箱いっぱいのぼた餅を持って訪ねてきて、その夜は親子水入らずでぼた餅を食べて眠った。ところが翌朝、源の姿が見えないと村じゅう総出の騒ぎになり、探すと裏の小屋の藁の中にいた。源が食べたぼた餅は馬糞で、その後一週間ほど腹の具合が悪かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平田村史 第3巻 (民俗編)(平田村史)
『平田村史 第3巻(民俗編)』の昔話と伝説の章から、伝説と世間話の節を抜き出したものである。福島県石川郡平田村の大字・字ごとに、八幡太郎義家や日本武尊にまつわる地名の由来、河童石、姥捨ての十石山、平堂内の大蛇、鶴殺し南兵衛、狐に化かされた村人の話などを収める。阿武隈の山あいの村に残る、石と塚と小さな祠にまつわる伝えが中心である。