僧の名を呼ぶむじなの尻尾
どんな伝承か
切久保の一翁庵(仁科の観音堂)に瑞信という僧がいた。そのころ毎晩のように化け物が出るので、近くの人々は怖がって夜は外に出られなかった。夜十時ごろ、皆が寝静まって物音一つしなくなると、どこからか「ずいしん」と呼ぶ声がする。音のする方へ少しずつ近づいて確かめると、むじなが尻尾を節穴に差し込み、出し入れして音を立てていたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
八坂村誌 民俗編・民俗編資料
『八坂村誌 民俗編・民俗編資料』の口頭伝承の節から、伝説と昔話を抜き出したものである。長野県大町市八坂(旧北安曇郡八坂村)の大姥山と鷹狩山の山姥・金時の伝え、池の主と大蛇、城跡と長者屋敷、狐・狸・むじな・山犬・天狗・河童の話、社寺の由来、雨乞いの伝えなどを、集落ごとの聞き書きで収める。犀川の谷あいの山村に残る、山と獣と水にまつわる話が中心である。