紅葉鬼人と金時の大姥山
どんな伝承か
大姥山には昔、紅葉鬼人と呼ばれる赤ら顔の女が住んでいた。有明山の八面大王と恋仲になり、その子として生まれたのが金時だという。住みかの岩屋は間口が十四、五間もある大きな穴で、越後まで通じているとも言われ、女がこの山に登ると必ず天気が荒れるという。八面大王が田村将軍に討たれると、姥は嘆いて水内の方へ去り、自ら舌をかみ切って果てた。その地が鬼無里だと伝わる。金時が育った山なので金時山と呼ばれ、麓を流れる川は金時と熊にちなんで金熊川と名づけられた。旧暦四月一日の金時山大姥神社の祭りには必ず雨が降るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
八坂村誌 民俗編・民俗編資料
『八坂村誌 民俗編・民俗編資料』の口頭伝承の節から、伝説と昔話を抜き出したものである。長野県大町市八坂(旧北安曇郡八坂村)の大姥山と鷹狩山の山姥・金時の伝え、池の主と大蛇、城跡と長者屋敷、狐・狸・むじな・山犬・天狗・河童の話、社寺の由来、雨乞いの伝えなどを、集落ごとの聞き書きで収める。犀川の谷あいの山村に残る、山と獣と水にまつわる話が中心である。