沼底の桶から天翔けた葦毛の馬
どんな伝承か
長瀞村の西、最上川の近くに、一日に七度も水の色が変わるのでかわり渕と呼ばれ気味悪がられた沼があった。岸には誰もつないでいないのに馬の糞が落ちていて、村人は沼に葦毛の馬がすむと信じていた。力自慢の大岩が一人でぬしを釣りに出かけ、夕暮れに掛かった糸を引くと逆に沼へ引き込まれそうになり、体を縛った大柳まで抜けかけたので逃げ帰った。話を聞いた長者が村人に沼を干させると、底に伏せた大きな馬洗い桶があり、丸太でこじ上げると見事な葦毛の馬が飛び出して東の山へ駆け去った。跡から水が噴き出して長者の田畑は流され、ぬしは沼沢沼へ移ったと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東根市史 別巻 上 (考古・民俗篇)
『東根市史 別巻 上(考古・民俗篇)』の伝説と民話の節を抜き出したものである。山形県東根市の藻が湖と東根・西根の地名、黒伏山の御穴と竜灯、御所山の天狗と甘露水、自牧寺の七妖怪と夢窓国師、マリア観音、若木神社の縁起、大滝の大カツラと乱川の起源、三ッ屋の竜灯や人形渕などの民話を、項目ごとの箇条で収める。