山鳥の尾の矢で討たれた八面大王
どんな伝承か
有明山の麓の矢村に住む弥左衛門は、薬草を採りに山へ入ったまま鬼の八面大王にさらわれた。妻のおさくは幼い弥助を育て、二十年が過ぎた。ある年の暮れ、弥助は罠にかかった山鳥を助け、三日後に訪ねてきた美しい娘を嫁に迎えた。やがて坂上田村麻呂が大王を討ちに来たが、矢が通じない。満願寺の観音の夢告げで三十三節の山鳥の尾の矢が要ると知れ、嫁は自分こそ助けられた山鳥だと明かして尾を差し出し、姿を消した。その矢で大王は討たれたが、母子は二度と笑わなかった。大王が蘇らぬよう体を切り分け、耳は耳塚、足は立足に葬ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第5巻 総説 1 (概説)
『長野県史 民俗編 第5巻 総説1(概説)』のことばと伝承の章から、伝説の節を抜き出したものである。長野県全体の伝説を、デーラボッチャ・小泉小太郎・甲賀三郎・黒姫・八面大王・鬼女紅葉・ものぐさ太郎・弘法大師・白米城・早太郎・猫檀家・かっぱ・逆さ木・池の主・人柱・首塚などの題ごとにまとめ、本話のあとに県内各地の類話を地名つきで並べる。県史の地域編と重なる話も多い。