幽霊を二度見た県庁の運転手
どんな伝承か
福島県庁の自動車運転手が、友達とふたりで裏磐梯の旅館に泊まった夜、ふと目が覚めると障子のところにはっきりと女の幽霊が見えた。友達を起こそうと手をかけたら、その友達も見ていたという。気持が悪くて朝まで眠れず、朝食のとき女中に話すと、とうとう出ましたかと言われた。前に女が死んだことのある部屋で、ふだんは客を泊めないのだという。同じ運転手は後日、深夜の国道でライトの前を歩く女を乗せ、女の言う村まで来て振り返ると姿が消えていた。以来、夜は見ず知らずの人を乗せず、ラジオをつけっぱなしにして走るようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。