トンネルの奥へ戻っていく供養石
どんな伝承か
新幹線トンネル工事中、幸田町側の坑口近くでは資材置き場の番をする作業員が繰り返し「タスケテクレー」と叫んで金網に取りすがる怪異が起きた。ある夜には黒い人影が上下線の敷板を踏む足音を立てて近づき、光を当てると消えた。保線業者の柵木磯五郎は赤水の湧く場所の上手から石を運んで供養したが、後日その供養石が忽然とトンネル二〇〇メートル地点に移動しており、運び出した作業員は大けがを負ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。