雨漏りに追われて帰った生霊
どんな伝承か
詩人草野心平の親友に、福島県双葉郡川内村の寺の住職がいる。その住職から聞いた話である。檀家のひとりが危篤に陥ったとき、死の床で、お寺の本堂まで行ったが雨漏りがひどくていられず、坊様も留守だったので仕方なく黙って帰って来てしまった、と語った。臨終の幻想だろうと家族は思って聞いていた。葬式の後でこの話を聞いた住職は、思い合わせるとまったくその通りで、草葺屋根の修繕の最中に俄の大雨が降り、留守中の寺は大変な雨漏りで困ったことがあったと語った。病人のただの幻想ではなかったのだと、みんなで話し合った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。