皿一枚で殺された妾の怨霊
どんな伝承か
牛込の服部家の妻はひどく嫉妬深く、夫が在番で留守のあいだに、妾が南京の皿を一枚落として割ったのを咎めた。皿そのものより、日ごろ夫に目をかけられているのが妬ましかったのである。妻は妾を一間に閉じ込めて食を断ったが、五日たっても死なないので、ついに首を絞めて殺させた。妾は運び出される途中で棺の中から息を吹き返し、着物に隠した二百両を渡すから助けてくれと乞うたが、担ぎ手四人は金だけ取って改めて絞め殺し、野に葬った。数日後、妻は喉が腫れて塞がり、湯水も通らない。脈を診る医者の前に女が現れて経緯を語り、四人はすでに死んだ、今度はこの女を殺す順番だと告げた。妻はもがき苦しんで死んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。