若松の小石の沖に浮かぶ火影の正体
どんな伝承か
筑前の若松に近い小石の海岸で、沖合に数えきれないほどの火影が浮かび出たことがあった。船を出して確かめに行ってみると、その正体は粟粒ほどの大きさの光る虫だったという。長崎水産時報の不知火号に載った話として、不知火に似た火がいまも消えていない例に挙げられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))
『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。