大石相戦(謙信春日山城の石の喧嘩)
どんな伝承か
『伽婢子』巻十二の「大石相戦」によれば、上杉謙信の居城である春日山城で、ある日の夕暮れから二つの大石がしきりに跳ね動いてはぶつかり合い、夜半過ぎまで争い続けた末に、どちらも砕けてしまった。それから程なくして謙信は病で世を去ったという。寺田寅彦はこれを当てにならない話としながらも、北陸一帯は昔から山崩れや地すべりの目立つ土地で、ゆっくり動く地盤の上では岩が揺れながらぶつかり合って運ばれることもありうるとし、石の喧嘩という発想はそうした現象から生まれたのかもしれないと考えた。
原典より
『伽婢子』巻の十二に「大石相戦」と題して、上杉謙信の春日山の城で大石が二つ或る日の夕方しきりに躍り動いて相衝突し夜半過ぎまで喧嘩をして結局互いに砕けてしまった。—— 怪異考 - 化物の進化(寺田寅彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異考 - 化物の進化(寺田寅彦)
『怪異考 - 化物の進化』は、物理学者寺田寅彦が大正九年から昭和十二年にかけて雑誌・新聞に書いた随筆と談話を集めた本である。土佐の「孕のジャン」や濃尾のギバを地鳴りや空中放電で説く「怪異考」、昔の人が化物を自然現象の説明に用いたことを論じる「化物の進化」のほか、人魂、狸の腹鼓、厄年、夢判断などを科学者の目で語る。各篇の末尾に初出の年月と掲載誌名を記すが、「狸の腹鼓」だけは「単行本未収録」とのみ記す。