博打をやめさせた親分の女房の霊
どんな伝承か
村山地方の百姓篤助は、新庄の城下へ出たとき昔の仲間に誘われてバクチ場に入り、三年かけて貯めた所持金をすっかり取られた。親分の女房が、おまえのようなものは二度と来るところではないと言って、在までの路銀をくれた。その優しさが忘れられず、篤助はまた三年かけて金を貯めて通い、やはりすってしまう。三年後に訪ねると女房の姿はなく、一年前に病死したと聞かされた。バクチをやめて帰る道すがら、篤助はその女房の亡霊と出会い、やめてよかったねと声をかけられた。さらに三年後、あの日バクチ場で喧嘩があり親分ら数人が死んだと知った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。